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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第2章 第一話【天つみ空に】 其の弐

切ない歌だ。これを詠んだ女性は、幾ら想っても、届かぬ胸の想いのたけをこの歌に託したのだろう。真吉にも話したように、この歌は万葉集に収められている一首であるが、作者は不明、詠み人知らずとなっている。つまり、どこの誰が詠んだかすら、今に伝わっていないのだ。
誰が誰を想って詠んだかさえ判らぬ恋歌が今、この時代にはるかな時を越えて伝わっている。そのことに、お逸は何か厳粛なものを感じるとともに、いつの時代も女が愛する男をひたむきに想う心は同じなのだと思うのだった。
誰が誰を想って詠んだかさえ判らぬ恋歌が今、この時代にはるかな時を越えて伝わっている。そのことに、お逸は何か厳粛なものを感じるとともに、いつの時代も女が愛する男をひたむきに想う心は同じなのだと思うのだった。

