この作品は18歳未満閲覧禁止です
この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第13章 第四話【恋月夜】 其の参
お逸は、そのまま物想いに耽り続けた。
夕刻、伊勢屋から遣いが来て、清五郎の訪れが遅れると告げられた。何でも深川で行われる寄合に出て、それから登楼するのだという。無理にそこまでして来なくても良いのにと思うのは、お逸が清五郎を嫌っているせいだ。
その日もまた一日、何をするでもなく無為に過ぎた。
春の陽も隠れると、吉原の町に夜の帳が降りる。夜見世が始まり、往来に俄に人通りが目立ち始める。