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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第13章 第四話【恋月夜】 其の参
 お逸は、そっと部屋の障子窓を開けた。
 この部屋は往来に面しており、二階の窓からは賑やかな町の通りが見渡せる。通りに面した二階の窓枠に頬杖をつき、お逸は虚ろなまなざしを通りへと投げた。
 往来の両脇を薄紅色の花をたっぷりとつけた樹が飾っている。吉原の桜は春、いずこかより運ばれてきて、植えられる。そして、時季が過ぎれば、また引っこ抜かれ、持ち去られるのだ。桜が終われば、今度は菖蒲の見頃になるけれど、それもまた植えられ、抜き取られる運命にある。
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