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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第2章 第一話【天つみ空に】 其の弐

お逸がそんな話をぼんやりと思い出していると、清五郎が続けた。
「それに、私など仁左衛門さんの脚許にも及ばない。仁左衛門さんは、その気になれば、絵師で食べてゆけるだけの腕と技量を持つお人だった」
「そうでしょうか。私にはよく判りませんけど」
正直に言うと、清五郎は愉快そうに声を上げて笑った。
「本当のことだよ。私は余計なおべっかは言わない。仁左衛門さんは本当に絵師になっても世間を渡ってゆける人だ。私がもし、それだけの才能を持っていれば、間違いなく今は、こんなところにはいなかったろうね」
「それに、私など仁左衛門さんの脚許にも及ばない。仁左衛門さんは、その気になれば、絵師で食べてゆけるだけの腕と技量を持つお人だった」
「そうでしょうか。私にはよく判りませんけど」
正直に言うと、清五郎は愉快そうに声を上げて笑った。
「本当のことだよ。私は余計なおべっかは言わない。仁左衛門さんは本当に絵師になっても世間を渡ってゆける人だ。私がもし、それだけの才能を持っていれば、間違いなく今は、こんなところにはいなかったろうね」

