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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第2章 第一話【天つみ空に】 其の弐
恩人の清五郎にそんなことを考えた自体、許されないことのように思える。全く、昨日から、自分はどうかしてしまったようだ。真吉のことを訳もなく考えて涙したり、清五郎をたとえ一瞬でも怖いと思ってしまうなんて。
「ひさかたの天つみ空に照る月の失せむ日にこそわが恋止まぬ―」
大好きな恋の歌をそっと呟いてみる。
お逸の眼からつうっとひと筋の涙が流れ落ちた。
庭の紅葉が風もないのに、はらはらと散り零れていた。
「ひさかたの天つみ空に照る月の失せむ日にこそわが恋止まぬ―」
大好きな恋の歌をそっと呟いてみる。
お逸の眼からつうっとひと筋の涙が流れ落ちた。
庭の紅葉が風もないのに、はらはらと散り零れていた。