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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第2章 第一話【天つみ空に】 其の弐
「―そうか、それなら良いんだが」
その瞬間、清五郎の整った面がわずかに翳ったのを、お逸は気付かなかった。
「折角描いているところを邪魔して悪かったね」
清五郎はひと言詫びると、立ち上がった。
襖が再び音を立てて閉まると、お逸はホウと息を吐いた。いつもなら清五郎と二人だけでいても、こんなに緊張することはないのに、今日はどうしたのだろう。殊に先刻、清五郎がお逸の手許を見ようと覗き込んだ時、清五郎の腕が触れた瞬間、いやだ、怖いと思ってしまった。
その瞬間、清五郎の整った面がわずかに翳ったのを、お逸は気付かなかった。
「折角描いているところを邪魔して悪かったね」
清五郎はひと言詫びると、立ち上がった。
襖が再び音を立てて閉まると、お逸はホウと息を吐いた。いつもなら清五郎と二人だけでいても、こんなに緊張することはないのに、今日はどうしたのだろう。殊に先刻、清五郎がお逸の手許を見ようと覗き込んだ時、清五郎の腕が触れた瞬間、いやだ、怖いと思ってしまった。