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夢で逢えたなら~後宮秘談【怨のものがたり~朝鮮王朝後宮譚改題
第3章 結ばれる
 百花は沈んだ気持ちで崔尚宮の室を出た。
 その夜、百花は自室で泣くだけ泣いた後、部屋の小さな箪笥の引き出しを開け、小刀を出した。護身用にと大切にしまっている懐剣だ。朱塗りの懐剣には鞘にも柄にも螺鈿細工で撫子の花が精緻に描かれている。
 どちらかといえば実用というよりは装飾の用途が濃いが、刃は鋭いし、いつも研いでいるため、十分に実戦でも仕える代物だ。何年か前、こつこつと貯めておいた金をはたいて買い求めたものである。貰った給金の殆どは母に渡しているが、ほんの少しだけは手許に残している。それを地道に貯めた金で買った。
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