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夢で逢えたなら~後宮秘談【怨のものがたり~朝鮮王朝後宮譚改題
第4章 愛撫

「殿下はああ見えて、とても繊細なお心をお持ちです。これまで本物の恋をなさったことがないゆえ、初めての恋に戸惑っておられる」
あの方はお淋しいのですよ。
かつて国王の乳母であった女(ひと)は静かな瞳で語った。
百花は眼を見開いて、監察尚宮を見つめる。
「王室に生まれるというのは、そういう宿命なのです。殊に、あのお方は襁褓の取れぬ頑是なさで東宮となられ、十歳で王位につかれました。頼りとされる母君は殿下が六歳のときに亡くなられ、お父上たる先王殿下をも殿下は十で失われました―」
あの方はお淋しいのですよ。
かつて国王の乳母であった女(ひと)は静かな瞳で語った。
百花は眼を見開いて、監察尚宮を見つめる。
「王室に生まれるというのは、そういう宿命なのです。殊に、あのお方は襁褓の取れぬ頑是なさで東宮となられ、十歳で王位につかれました。頼りとされる母君は殿下が六歳のときに亡くなられ、お父上たる先王殿下をも殿下は十で失われました―」

