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第5章 妖婦

　男とは、いや、特権階級の男とは所詮、身勝手な生きものなのだ。そう思えば、王への心は余計にしんと冷めてゆくのは、いかんともしがたい。
　また、その頃、不穏な噂が王宮だけでなく市井の民の間にまで流れた。それは、懐妊中のまま亡くなった金淑儀に沈貴人が毒を盛ったというものだった。この噂は既に金淑儀が健在であった頃からひそかに囁かれていたが、時ここに至り、俄に表面化してきた感があった。