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第5章 妖婦

　噂の渦中にいる金淑儀の死が引き金になったのではあろうが、これまでひそかに囁かれながらも表立って語られようとしなかった話が何故、今更、蒸し返されるようなことになったのか？　これには更に愕くべき事実が明白になった。
　金淑儀の従姉、つまり、もう一人の金淑儀である金延(ヨン)苑(ウォン)が故意にその噂を流させたことが発覚したのだ。沈貴人の部屋の床下から一体の人形が見つかったのである。その人形は貴婦人が纏う豪奢なチマ・チョゴリを着せられており、身体中に無数の針が刺してあった。明らかに後宮の地位ある女性―この場合、沈貴人を呪った証としか受け取れないものだ。