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夢で逢えたなら~後宮秘談【怨のものがたり~朝鮮王朝後宮譚改題
第1章 恋の訪れ

突然現れたその男は父の幼なじみだと名乗り、土下座して〝人参を分けてくれ〟と泣きついてきた。王宮に住まう王さまにとってですら、貴重品だというほど高価で稀少な人参を籠にいっぱい持ち帰って、病床に伏す妻に呑ませなければ、妻は三日以内にも亡くなる―、そのように医者に言われたのだとさめざめと泣きながら訴えた。
今から考えれば、実に怪しい話だったのだ。男は妻の病名さえ告げず、ただひたすら重い病で寝付いているから、薬が欲しいのだと言い続けた。
が、人の好い父は相手にひとかけらの疑念も抱かず、人参を乞われるままに籠山盛り持たせて帰した。丁度、しっかり者の母は買い物に出ていて、留守だった。
今から考えれば、実に怪しい話だったのだ。男は妻の病名さえ告げず、ただひたすら重い病で寝付いているから、薬が欲しいのだと言い続けた。
が、人の好い父は相手にひとかけらの疑念も抱かず、人参を乞われるままに籠山盛り持たせて帰した。丁度、しっかり者の母は買い物に出ていて、留守だった。

