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夢で逢えたなら~後宮秘談【怨のものがたり~朝鮮王朝後宮譚改題
第2章 揺れる、心
とにかく、従妹の懐妊は、金家にとっては何よりの慶事であった。自分ではなくとも、まずは金家が他の側室たちより一歩先んじたのは間違いない。いずれ、遠からず我が身も従妹と同じように国王殿下の御子を授かるのとではと希望も湧いてくる。
「それは何というめでたきことではないか。早速、金淑儀の許に祝いの使者を遣わさねばならぬ」
大王大妃が珍しく興奮した面持ちで言った。平素から滅多と取り乱すことのない方のこの歓び様が何より金家のこれからの隆盛を示していた。長らく逼塞していた家門もこれで、漸く陽の目を見られるだろう。
「それは何というめでたきことではないか。早速、金淑儀の許に祝いの使者を遣わさねばならぬ」
大王大妃が珍しく興奮した面持ちで言った。平素から滅多と取り乱すことのない方のこの歓び様が何より金家のこれからの隆盛を示していた。長らく逼塞していた家門もこれで、漸く陽の目を見られるだろう。