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第4章 ラプンツェルと聖夜の夜啼鳥

「…わかった…。ここに隠れている…。
八雲の言うことを聞く…。
…だから…」
…抱いて…。
啜り泣きながらしがみつく瑞葉を掬い上げるように、男が抱き竦める。
「…可愛い可愛い瑞葉…。愛しているよ…」
…男が呼び捨てになるのは、愛し合う前の合図だ。

ひんやりとした八雲の唇が、震える唇を塞ぎ…そのまま貪られる。
「…んんっ…」
息ができないほどに舌を絡められ、口内を蹂躙される。
「…愛している…瑞葉を…食べてしまいたいくらいに…可愛い…可愛い…。
…お前を失ったら…私は…どうなるか分からない…！」
自分の言葉に激したように、八雲はナイトドレスの裾を荒い動作でたくし上げ、逞しくも長い脚を太腿の間に割り入れる。

…瑞葉は、夜は下着を身に付けていない。
「…いつでも、私と愛し合えるように…下着はお付けにならないでください…」
この塔に連れてこられた時に言い渡された。
…甘く危険な香りのするキスとともに…。
…瑞葉に拒むすべはなかった。
男の言うなりになることが、膿んだような悦びだった。

「…ああ…っ…」
直截な八雲の動きに、思わず声を上げる。
「…すまない…。凄く興奮している…。
直ぐにお前が、欲しい…」
熱い吐息混じりに耳朶を噛まれる。
「…んんっ…」
スラックス越しの熱く硬く昂る牡を押し付けられる。
「…ああ…八雲…」
瑠璃色の美しくも謎めいた瞳が、優しく…けれどどこか影を宿した色合いで微笑まれる。
「…お父様だよ、瑞葉…」
ぞくりと背筋が震えるほどの湿った仄暗い快感が走る。

震える薄紅色の唇が、微かに告げる。
「…お父様…」

…八雲が父親だと告げられたとき、瑞葉は悩み…苦しんだ。
しかし、八雲への愛を捨て去ることができなかった。

瑞葉から去ろうとする八雲に縋り付き、慟哭した。
「…お前が父親でもいい…。
僕を…捨てないで…。
…このまま…愛して…離さないで…！」