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夜明けまでのセレナーデ
第10章 僕の運命のひと
大階段を泉と降りると、モザイク模様のイタリア大理石のフロアには司がやや不機嫌そうに腕を組んで二人を見上げていた。
…司もまた極上の黒い燕尾服にホワイトタイという正装だ。
やや明るい亜麻色の長めの髪に透き通るような白い肌、薄茶の瞳、形の良い唇はほんのり赤く…精巧に出来た美しい人形のような青年の姿がそこにはあった。
「…やっぱり泉は薫くん贔屓だね。
すぐにつきっきりだ」
拗ねたように口を尖らせる様からは、泉への熱い愛情と執着が感じられた。
「…司様…」
言い訳を口にしようとする泉の背中を、薫はぽんと押した。
バランスを崩し、つんのめるように泉は司の胸に飛び込んだ。
「薫様!」
薫はにっこり笑い、芝居掛かった仕草で片手を差し伸べた。
「今日は聖夜だ。
聖夜は愛し合う恋人同士で過ごさなきゃね」
…そうして…
「…もうすぐワルツが始まる。
ここならもう誰も来ないよ」
悪戯めいた眼差しでウィンクをすると、しなやかにその場を後にした。
…司もまた極上の黒い燕尾服にホワイトタイという正装だ。
やや明るい亜麻色の長めの髪に透き通るような白い肌、薄茶の瞳、形の良い唇はほんのり赤く…精巧に出来た美しい人形のような青年の姿がそこにはあった。
「…やっぱり泉は薫くん贔屓だね。
すぐにつきっきりだ」
拗ねたように口を尖らせる様からは、泉への熱い愛情と執着が感じられた。
「…司様…」
言い訳を口にしようとする泉の背中を、薫はぽんと押した。
バランスを崩し、つんのめるように泉は司の胸に飛び込んだ。
「薫様!」
薫はにっこり笑い、芝居掛かった仕草で片手を差し伸べた。
「今日は聖夜だ。
聖夜は愛し合う恋人同士で過ごさなきゃね」
…そうして…
「…もうすぐワルツが始まる。
ここならもう誰も来ないよ」
悪戯めいた眼差しでウィンクをすると、しなやかにその場を後にした。