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森の中
第9章 9 決別
二月に入り温暖なこの地方にも少しだけ雪がちらついた。道具の手入れでもしようかと冬樹は小屋を出て車に積んである道具箱を取りに向かった。
駐車場に着くと瑠美のジムニーが停まっていた。車の屋根には少し雪が乗っている。いつからいたのだろうか。近づいて中を覗くと運転席に瑠美が俯き気味で静かに座っている。 窓をノックする瞬間に助手席に金襴緞子に包まれた小さな立方体が見えた。
音と冬樹に気づき、瑠美はハッとして顔を上げ車から降りてきた。
「お久しぶりです」
「久しぶりだね」
相変わらず化粧っ気のないおびえたような表情を向ける。今日はいつにもまして血の気の引いた顔だ。グレーのコートと相反するような助手席の派手な布地が気になりちらっと冬樹が目を走らせると瑠美は
「母です」
と、小さく言った。
(遺骨か……)冬樹は察して追及をしなかったが、小さく冷たい瑠美の手を取り
「おいで……」
と、小屋へ連れて歩いた。
駐車場に着くと瑠美のジムニーが停まっていた。車の屋根には少し雪が乗っている。いつからいたのだろうか。近づいて中を覗くと運転席に瑠美が俯き気味で静かに座っている。 窓をノックする瞬間に助手席に金襴緞子に包まれた小さな立方体が見えた。
音と冬樹に気づき、瑠美はハッとして顔を上げ車から降りてきた。
「お久しぶりです」
「久しぶりだね」
相変わらず化粧っ気のないおびえたような表情を向ける。今日はいつにもまして血の気の引いた顔だ。グレーのコートと相反するような助手席の派手な布地が気になりちらっと冬樹が目を走らせると瑠美は
「母です」
と、小さく言った。
(遺骨か……)冬樹は察して追及をしなかったが、小さく冷たい瑠美の手を取り
「おいで……」
と、小屋へ連れて歩いた。