- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
森の中
第1章 1 ハイキングコース
小屋の裏に回り、少し手入れのされた獣道を歩くと草が刈られ砂利が敷かれた広場に出る。駐車場のようでシルバーのフォレスターが停まっていた。年式は古そうだが綺麗に磨かれていて大事にされているのがよくわかる。
「乗って」
男は冷たい態度とは裏腹に助手席のドアを紳士的に開け、瑠実を乗せて静かに走り出す。舗装されていない山道でも滑らかな走行で乗り心地が良かった。
(なんて運転の上手い人だろう)感心しながら瑠実は男の横顔を盗み見た。無表情で機械のような人間味のない男に哀愁を感じる。
公園の駐車場が見えてきて男が
「あのジムニーそう?」
と、聞いてきた。
「そうです。お手数掛けました」
車が止まり瑠実は頭を下げて降りようとした。
男が一言、「さよなら」 と言い、他に何か言いたげな素振りで瑠実の顔を見た。
瑠実も「さよなら」と、言いながら、男の深い瞳の色に森の静けさとなぜだか郷愁の念を感じて切なくなった。
降りてドアを閉めると男はすぐに発車し元来た道を帰って行った。見送りながら瑠実はしばらく立ち尽くしていた
「乗って」
男は冷たい態度とは裏腹に助手席のドアを紳士的に開け、瑠実を乗せて静かに走り出す。舗装されていない山道でも滑らかな走行で乗り心地が良かった。
(なんて運転の上手い人だろう)感心しながら瑠実は男の横顔を盗み見た。無表情で機械のような人間味のない男に哀愁を感じる。
公園の駐車場が見えてきて男が
「あのジムニーそう?」
と、聞いてきた。
「そうです。お手数掛けました」
車が止まり瑠実は頭を下げて降りようとした。
男が一言、「さよなら」 と言い、他に何か言いたげな素振りで瑠実の顔を見た。
瑠実も「さよなら」と、言いながら、男の深い瞳の色に森の静けさとなぜだか郷愁の念を感じて切なくなった。
降りてドアを閉めると男はすぐに発車し元来た道を帰って行った。見送りながら瑠実はしばらく立ち尽くしていた