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森の中
第10章 10 面影
――君枝は瑠美にとって最愛の人であった。家族との絶縁状態にあった君枝は一人で瑠美を生み育てた。二人で寄り添いつつましく生きてきた。

二十代に勤めていた会社の年配の上司からアプローチされたとき母に楽をさせてやりたい一心で特に好きでもなかったが乞われるまま結婚をした。
若い瑠美を最初夫は可愛がってくれていたが、従順でも人形の様な態度に不満が出てきてしまい、別の女に走ってしまった。そして離婚に至る。

その後、やはり別の勤め先でも同じように瑠美と結婚を望んだ男がいたが君枝が制した。自分自身は愛する人と結婚が出来なかったが愛のない結婚をするよりはましだと瑠美を諭した。
それからは男に誘われても流されることなく断り続けていた。

(お母さんが一番だった)
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