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森の中
第2章 2 ログハウス
冬樹は小屋の中に薪を運び入れ、ストーブを焚き始めた。チョロチョロとした火がやがて安定した火力になったのを見計らってロッキングチェアに腰かけ揺らした。
(今年初の冷え込みかな)
先週の山に入ってきた女を思い出す。十二年前に死んだ妻に顔がよく似ていた。一瞬、妻が帰ってきたのかと思うほどだった。
しかし勿論、別人で妻と違い、暗く自信のない儚げな女だった。もう会いたくないものだと思っていると外でガタガタと音が聞こえたので猿でもきているのかと様子を見に小屋の外へ出た。
女が一人立っている。先週の女だ。
冬樹は苦笑して、
「何しに来たんだ」
と、尋ねた。
女は相変わらず伏し目がちでおどおどしていながらも力強く答えた。
「あなたに会いに来ました」
ため息をつきながら冬樹は
「冷えるから入って」
と、小屋の中へ女を招き入れた。
「そこにでも座って」
薪ストーブの前のロッキングチェアを指さすと女は頭を下げて静かに腰かけた。
(今年初の冷え込みかな)
先週の山に入ってきた女を思い出す。十二年前に死んだ妻に顔がよく似ていた。一瞬、妻が帰ってきたのかと思うほどだった。
しかし勿論、別人で妻と違い、暗く自信のない儚げな女だった。もう会いたくないものだと思っていると外でガタガタと音が聞こえたので猿でもきているのかと様子を見に小屋の外へ出た。
女が一人立っている。先週の女だ。
冬樹は苦笑して、
「何しに来たんだ」
と、尋ねた。
女は相変わらず伏し目がちでおどおどしていながらも力強く答えた。
「あなたに会いに来ました」
ため息をつきながら冬樹は
「冷えるから入って」
と、小屋の中へ女を招き入れた。
「そこにでも座って」
薪ストーブの前のロッキングチェアを指さすと女は頭を下げて静かに腰かけた。