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戦場に響く鈴の音
第29章 使者



「義兄上様…、お話があります。」


与一と同じように血に塗れる初陣を経験する孩里が俺のところまでやって来る。

与一と違うのは佐京に倒される兵は孩里の民だという事だ。


「お前の話は無駄だと言ったはずだ。」


俺の返事は変わらない。

籠城が始まって3日目…。

孩里は毎日のように現れては透里を説得すると俺に言う。


「狂戦士が見張りの兵を殺し続ける事で叔父上も籠城は無駄だと思っているはずです。今なら義兄上様の言葉も叔父上に通じると思います。」

「それで、お前がノコノコと出て行って人質にされるのか?」

「義兄上様は僕の生命など無くとも状況は変わらないと仰ったではありませんか!?」

「ああ、俺には同じだ。だが民は違う。お前が本気で民を思い笹川の当主として領地を治めるつもりがあるなら、今は黙って後方から戦場を見てろ。俺や佐京を苛立たせるな。」

「義兄上様…。」

「帰れ…。」


膠着状態に兵は俺と同じように苛立っている。

笹川の当主が本陣をウロウロとすれば八つ当たりをされても文句は言えない。

だから後方で待ってろと言い聞かせても、彩里同様の馬鹿さでは俺の言葉を理解はせぬ。


「とにかく、叔父上に手紙だけでも…。」


誰がその手紙を届けるのだとキレたくなる。

佐京だから単身で朧城の手前まで行けるが、僅かでも一般兵が近付けば朧から雨のように矢が降って来るに決まってる。


「文を書く紙を無駄遣いするな。いざという時に厠の紙が足りなくなる。」


こちらは野宿…。

無駄な物資も無駄な時間も存在しない。

孩里も彩里に負けず浪費家だ。

戦場では節約あるのみだと俺や雪南が足りない頭へと叩き込む。


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