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ダブル不倫 〜騙し、騙され
第5章 隣人
 午後十時頃、修一が帰ってきた。その右手はなぜか彼の首すじにあった。その顔は少し辛そうに見えた。
 
「修一さん、首……どうしたの?」
 
「ああ、少し捻《ひね》っちゃった……」
 
「じゃあ、湿布で早く冷やさなきゃ」
 
「うん、でも少し良くなったから……」
 
「無理しないで……」と、言ったあと優子は「あなた……?」と修一に呼びかける。
 
 ――修一さん、私を見て、真っ直ぐに見て……。「口紅変えた?」って言って……。
 
 修一はチラリと優子に目をやり、何も言わずベッドルームに入った。
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