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ダブル不倫 〜騙し、騙され
第5章 隣人
真夜中に修一の寝姿を見ていた。
彼が寝返りを打った。
彼が痛いと言っていた首すじには、少し薄くなっているが小さな桜の花びらのようなプリントがひとつある。
小さくて薄い赤紫色の花びら。
――えっ、これって……キスマーク?
優子が学生のころに、付き合っていた男性から胸の膨らみにキスマークをつけられたことがあった。あまりも突然だった。その後、男性は嬉しそうに自分がつけたその〈プリント〉を満足そうに何度も指先で確認していた。それは自分の存在を伝える、いわばマーキングだ。
鳥肌が立った。今まで、誰かにキスマークをつけようという発想が、優子には全くなかった。もちろん、夫の修一にさえ……。
優子は眠れなかった。
――キスマーク主《ぬし》の私に対する宣戦布告?
優子は自分の左の二の腕に唇を当て強く吸った。
「痛っ!」
優子は、贅肉のない自分の二の腕についた小さな桜の花びらを指先で撫でた。
彼が寝返りを打った。
彼が痛いと言っていた首すじには、少し薄くなっているが小さな桜の花びらのようなプリントがひとつある。
小さくて薄い赤紫色の花びら。
――えっ、これって……キスマーク?
優子が学生のころに、付き合っていた男性から胸の膨らみにキスマークをつけられたことがあった。あまりも突然だった。その後、男性は嬉しそうに自分がつけたその〈プリント〉を満足そうに何度も指先で確認していた。それは自分の存在を伝える、いわばマーキングだ。
鳥肌が立った。今まで、誰かにキスマークをつけようという発想が、優子には全くなかった。もちろん、夫の修一にさえ……。
優子は眠れなかった。
――キスマーク主《ぬし》の私に対する宣戦布告?
優子は自分の左の二の腕に唇を当て強く吸った。
「痛っ!」
優子は、贅肉のない自分の二の腕についた小さな桜の花びらを指先で撫でた。