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ダブル不倫 〜騙し、騙され
第2章 プロローグ
 静かな食卓だった。カチャカチャと皿を叩く箸の音だけがダイニングに響いている。
 
「凛華《りんか》は……寝たの?」
 
 凛華は優子と修一の小学二年生なるひとり娘で、修一が勤める公立小学校の生徒だ。
 
「あなたが帰る三十分前まで起きて、待っていたんだけど……」
 
「……そうか」
 
「ねえ、あなた……凛華も寝たことだし……ねえ?」
 
 優子は流し目で修一の目を見る。キスをするときのように唇を尖らせた。
 
「優子、きみから誘われるのは珍しいね」
 
 修一の唇が近づく。夫の呼吸が当たりそうな距離だ。優子は思わず呼吸を止めた。
 
「だって……わたしだって……ねえ? じゃあ、わたし、シャワーしてくるね?」
 
 ――ベエーだ。
 
 と、優子はふいに立ち上がり、浴室に入った。
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