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親愛なるご主人さま
第22章 朝のテレビニュース

「見て! この人、もしかして・・」
玲子はコーヒーカップを床に落として割ってしまった。
テレビの画面には即死したドライバーの顔写真と名前が映し出されていた。運転免許証の写真らしく、口を真一文字に結んだ硬い表情ながら、目元に優しさがある青年だ。
「慎一郎って・・・・まさか・・S君・・・」
「あなた、本名ご存じないの?」
「!! ・・・本名は・・・・いや・・イニシャルのSKとまでしか・・・」
圭吾と玲子は東京のホテルで契約を交わし、菜穂子を引き取った時のことを思い出していた。“S”さんに会っていたが・・・・あの時は・・・お互いにサングラスやベネチアンマスクをして顔を隠していた。テレビの画面の写真を見ると、あのときの面影が有るようで・・・ないような・・・・・記憶がおぼろげであり、当人であってほしくなかった。
トゥルルルル・・・・
電話が鳴った。
”X社”の細井一馬からだった。
「あっ!梶篠さん?直ぐテレビ、テレビつけて!ニュース!」
「今、見てるよ! これって・・・」
「・・・・間違えありません・・・」
「・・・・ぅ・・うそでしょ・・・」
玲子が床に崩れ落ちた。
「かっ・・・・梶篠さん。こ・・こ・・このニュース、もう菜穂子は・・?」
「見せてない。知らないよ。まだ・・・」
「そうですか・・・・」

