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親愛なるご主人さま
第24章 野獣 対 女豹

 「さっきはよくも私の大事な髪をザン切りにしやがって・・」

 玲子はタガーナイフをスっと振り払った。

 ジョリッ・・・・

 「ヒッ!」

 “X”が悲鳴を漏らし、陰毛の一部が削げ落ち、切っ先が男根をかすめて鮮血が小便に混じった。


 玲子の瞳が炎を宿したように一段と煌めいた。もう止められない衝動に駆られている。菜穂子への愛情と失う悲しみ、香月慎一郎の弔い、圭吾への嫉妬・・・そして“X”への怒り、様々な感情が入り乱れ、玲子の心を占めた。それは報復へと沸き上がる邪悪なサディズムに昇華していった・・・・

 興奮に濡れたパンティーを脱ぎ捨て、全裸になった玲子は再び広間の壁に近づき、鎖を巻き上げるスイッチを入れた。ギリギリと軋む音を立てて錆びた滑車が回り、鎖がゆっくりと巻き上がってゆく。爪先が床から離れそうになりながら“X”は首を引かれて動かされ、広間の客席の床からステージのお立ち台の上に引き上げられた。

 「ぅうう・・どめで・・・だ・・ず・・げ・・で・・ぐぅで・・(止めて、たすけてくれ)」

 玲子は“X”の命乞いを無視して鎖を巻き上げるスイッチを止めず、その横にある数個のボタンを素早く押した。
 すると昨夜のオークションパーティ同様に会場広間の照明が一斉に点いて、スポットライトもステージを射すように明るく照らした。

 「一度やってみたかったのよねぇ・・・処刑プレイ・・」

 スポットライトの中、“X”の爪先はついにお立ち台を離れ、一本鞭が首に巻き付いた巨体は3メートルある広間の天井近くまで昇った。苦悶して手足をバタつかせると余計に首が締まり、被せられたストッキングの下から泡と血へどを吹き始めた。

 既にわめき声も出ず、高く吊り上げられた“X”は一本釣りされた大マグロのように全身をピクピクとさせていたが、しばらくして痙攣も終わり、宙吊りされたまま絶命した。

 
(・・・慎一郎さん。あなたに見せたかったわ・・・)






「あっ、しまった。録画するのを忘れていたわ! アッハハハハハハ・・・」

玲子の狂ったような笑い声が広間の天井に響いた。









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