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親愛なるご主人さま
第26章 悪夢の女医

「ゥフッ・・」
女医のわずかな含み笑いが矢島の耳にかすかに届いた。
そしてルージュの唇からまるで大蛇のような長く赤い舌をチロリと伸ばし、無影灯の青い光の中でおどろおどろしく涎を滴らせ、死体の乳首をペロリペロリと舐めはじめたのだった
「ひっ・・」
恐怖と緊張に固まっていた矢島が思わず後ずさり、ドアに足をぶつけた。
ガタっ!
ギィ~~、
「ぁ・・」
「ん?誰っ?」
「ひっ!」
「・・・見・・た・・なぁ・・・・・」
「ひっーーーーーー!」
刑事とは思えぬ情けない悲鳴を上げた。
レイラは白衣の前を閉じて懐中電灯を手に持ち悲鳴が上がった入り口ドア付近を照らした。
「あっ、オマエは・・・やっしー!」
「ぁあああああああ・・・は・・はっ、はい。矢島です・・ご無沙汰っ・・・・しております。先生」
「ウフフっ まぁー、本当に久しぶり。昔と変わらずビクビクしちゃって可愛いわねぇ。で、何しに来たのぉ?こんな時間に」
「はい。あっ・・あっ・・あの、その・・死体、女の件で・・」
「ああ、そぉか、これね。相変わらず仕事熱心ね。ま、そんなところに隠れてないで、こっちへおいで」
レイラは矢島を手招いて、部屋の灯りを明るくした。
矢島は女医と並んで女の死体が乗るストレッチャーの横に立った。消毒液の臭いに混じって隣に立つレイラの身体からなんとも言い難い甘くて引き込まれるような香りが漂う。
横たわる死体は、昨日、破間川の現場で見た時と変わらず白く若々しい裸体のままだ。

