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強姦魔
第14章 悪魔の終焉

「何をやっているんだ!」

通報を受けた警察官が駆け付けた時、辺りは血の海、男は腹を切り裂かれ、虫の息だった。

雪江は近くの飲食店の女将に毛布で体を包まれ、保護されていたが、中上、牧、吉田の姿はなかった。

救急車が到着し、担架に乗せられ運ばれていく男を見た刑事たちは「石上正一だな。」、「ああ、間違いない」と小声で囁いていた。

事情聴取のため所轄警察署に呼ばれた雪江はタバコを一服すると、「あの男がいきなり店に入ってきて、殴られました。隙を見て逃げ出しましたが、後のことはよく覚えておりません」、目撃していた盛り場の飲食店の者たちも「雪江さんを助けるのに夢中で、何があったか見ていないんですよ」と中上ら3人のことは決して口にしなかった。

「何があったんだ?人が1人死んでいるんだぞ」
「いったいどうしたんだ?」

捜査員たちは苛立ったが、「自業自得だ!」と吐き捨てる刑事もいた。

署内の反応はこのように様々だったが、防犯カメラで事の一部始終を確認した署長、副署長は「なるほど、そう言うことか」と言ったきり、その後に開かれた捜査会議には出なかった。

記者会見でも、
「通り魔による犯行で、目撃者もなし、ということですか」
「はい。そういうことです」
と禅問答のようなやり取りで終り、翌日の新聞には「行き倒れか?事件性はない模様」と簡単な記事しか載らなかった。誰もが、被害者のプライバシーを大切にし、強姦魔の石上正一は社会から抹殺された。
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