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本日も中出し日和
第10章 コロナにて
「いや、忘れた」


 わざとダンナはしらをきった。
 口元が笑ってる。


「忘れてへんやろ」

「忘れたって」

「じゃあ上の子らがデキた時のことは?」

「えーとなぁ…1号は子供つくろうってなって、狙って仕込んだら1発でデキたんよな。
 2号はお前が早く2人目欲しいって焦ってたけど全然出来んくて、1年かかったんや。
 3号はケンカの仲直りで行った有馬温泉の時やわな。
 4号は自然とデキたしなー」

「ちゃんと覚えてるやんか。じゃあ5号は?」

「だから忘れたって」

「なんでやねん」


 顔を見合わせて、二人で笑った。
 ダンナが私だけに笑顔を見せるのは久しぶりだ。
 ダンナが言ったとおり、稼ぎが減るのは痛手だけど、二人の時間ができたのは嬉しかった。


 ダンナが黙って私の肩を抱き寄せる。
 私は素直にダンナに身を預け、ダンナの大きな手を握った。


「私、今めっちゃ幸せやで」


 そう言う私の髪を、ダンナが撫でてくれてる。
 ダンナは小さい声で「なんで?」と訊いた。
 だから私も、小さい声でダンナに答えた。


「ダンナくんの赤ちゃんをもう一回育てられんのと、ダンナくんの赤ちゃんがお腹の中にいるの、どっちも幸せやから」


 ダンナはふふっと笑った。


「お前、どんだけ俺のこと好きやねん」


 ダンナの唇が私の耳元に触れる。
 息が熱い。
 こうなるともうただでさえ低いIQが3くらいになるので、もはや「ダンナくん…しゅきい」以外のことを考えられなくなる。罪深いわたしの思考回路…。





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