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第6章 台所にて

「結婚生活10年でデキたん3人やで？
　オレ相当打率低いから大丈夫やって」



　背後でダンナがメチャクチャな持論を展開している。
　確かにダンナは今まで一度も避妊してくれた試しがないが、それは私がピルを飲んでた期間があったり、危険日には口や手で終わらせたりして上手くかわしてきたから3人で済んでいるだけということをコイツは知らないのだ。


　私はもう一度、意思を確認した。


「いや…あんたは気楽でええけど、デキたら大変なんはコッチやねんから…欲しくないなら外に出してや？」


　今までにも何度かフンワリ4人目の話題が出たが、つくろうともやめとこうとも決まることもなく自然に任せてきたので、いざ今回マジで妊娠して、後から文句を言われたらたまったもんじゃない。


　だがコチラの不安など他人事なダンナは、アッサリ言い放った。




「欲しいから中に出すわ」




　予想通りの答えとはいえ、私の頭はパーンと弾けた。
　


　えっ……



　やっと我が家にオムツをした子がいなくなり、
　みんなご飯は『あ〜ん』してあげなくても一人で食べて、
　スーパーのお菓子売り場を通ってもひっくり返って駄々こねて大泣きすることがやっとなくなったというのに…



　マジでもう一人…？
　また赤ちゃん……！？



　いや…
　赤ちゃんは夫婦揃って大好きだ…
　赤ちゃんをもう一人育てたい気は山のようにある…




　だが…





　また幼稚園のPTAとかママ友ランチとか経験すんの？？
　また毎日連絡帳？？？
　ていうかまた夜泣き？？
　寝不足？？イライラ？？
　寝不足で殺気立ってるときにエッチしようとか呑気に言われることが原因の夫婦喧嘩？？
　ママ友ランチ？？(2回目)
　ママ友ランチ！！！？？？(3回目)



　色んなことが走馬灯のように脳内を駆け巡った…。




　だが…
　快感には…勝てない…。