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降りしきる黄金の雫は
第3章 3 『ナカムラ・グリーン』
仕事帰りに会社と取引のある植木販売の店『ナカムラ・グリーン』に立ち寄ることにした。
こじんまりとした個人経営だが、丁寧な苗木の扱いと社長の中村さんの誠実な人柄で、評判の高い店だ。
低い柵の木の扉を開くと、中村さんの愛犬のタロウが出迎えてくれる。
タロウはもう10歳になる柴犬だが元気よく、くるっと丸まったしっぽを左右に無限大に見えるような勢いで振り、僕に駆け寄ってくる。
「よし、よし、タロウ。いつも元気だね」
しゃがんで撫でてやると嬉しそうに目を細め指先を舐める。手のひらの傷に気づくと彼は匂いを嗅ぎ、手を舐めるのをやめた。
「君は賢いねえ」
褒めてやると、喜んで飛びつき顔を舐め始める。
「あ、わっ、ちょっと、眼鏡はダメだよ。見えなくなっちゃうよ」
ハアハアと激しい息遣いとベロベロと舐めあげてくるタロウを落ち着かせていると、社長の中村さんがやってきた。
「こらこら、タロウ。影島先生が困ってるだろう」
中村さんが声を掛けるとタロウは「アォン?」と鳴き、中村さんの足元にのそのそと座った。
こじんまりとした個人経営だが、丁寧な苗木の扱いと社長の中村さんの誠実な人柄で、評判の高い店だ。
低い柵の木の扉を開くと、中村さんの愛犬のタロウが出迎えてくれる。
タロウはもう10歳になる柴犬だが元気よく、くるっと丸まったしっぽを左右に無限大に見えるような勢いで振り、僕に駆け寄ってくる。
「よし、よし、タロウ。いつも元気だね」
しゃがんで撫でてやると嬉しそうに目を細め指先を舐める。手のひらの傷に気づくと彼は匂いを嗅ぎ、手を舐めるのをやめた。
「君は賢いねえ」
褒めてやると、喜んで飛びつき顔を舐め始める。
「あ、わっ、ちょっと、眼鏡はダメだよ。見えなくなっちゃうよ」
ハアハアと激しい息遣いとベロベロと舐めあげてくるタロウを落ち着かせていると、社長の中村さんがやってきた。
「こらこら、タロウ。影島先生が困ってるだろう」
中村さんが声を掛けるとタロウは「アォン?」と鳴き、中村さんの足元にのそのそと座った。