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降りしきる黄金の雫は
第5章 5 金木犀はこう言った
胸をなでおろし、彼のことを呼ぼうと思い「金木犀の――」と言いかけて、何か良い呼び名はないかと尋ねた。
「名前? 私にはどちらでも良いことだが」
「えっと、金木犀の精さんって呼ぶのもなんだか、ゴロがいいんだかなんなのか、ちょっと長いですしね」
「好きに呼ぶがいい」
「好きに――ですか」
金木犀――中国では「丹桂」や「金桂」と呼ばれているが上手く発音が出来ない。
「桂(ケイ)さん、と呼んでもいいでしょうか」
「よい。ではお前の名は?」
「芳樹(ヨシキ)です」
「では芳樹。今日は戻る」
「あ、はい。さよなら桂さん」
すーっと部屋を出て金木犀の木のほうに向かい溶けるように消えた。
僕はぼんやりと庭を眺め、現実感のない状況に夢なのかと思うが、金木犀の香りが鼻腔をくすぐり、下半身がむき出しになっていることに気づき、急いでトランクスを履いた。
庭の金木犀が不思議な同居人となったのだろうか。
とりあえず、桂さんに栄養不足だと思われないようにと食事をとることにした。
「名前? 私にはどちらでも良いことだが」
「えっと、金木犀の精さんって呼ぶのもなんだか、ゴロがいいんだかなんなのか、ちょっと長いですしね」
「好きに呼ぶがいい」
「好きに――ですか」
金木犀――中国では「丹桂」や「金桂」と呼ばれているが上手く発音が出来ない。
「桂(ケイ)さん、と呼んでもいいでしょうか」
「よい。ではお前の名は?」
「芳樹(ヨシキ)です」
「では芳樹。今日は戻る」
「あ、はい。さよなら桂さん」
すーっと部屋を出て金木犀の木のほうに向かい溶けるように消えた。
僕はぼんやりと庭を眺め、現実感のない状況に夢なのかと思うが、金木犀の香りが鼻腔をくすぐり、下半身がむき出しになっていることに気づき、急いでトランクスを履いた。
庭の金木犀が不思議な同居人となったのだろうか。
とりあえず、桂さんに栄養不足だと思われないようにと食事をとることにした。