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降りしきる黄金の雫は
第6章 6 診察
今日の仕事はほぼ肉体労働で久しぶりにへとへとになり、食事もできずにベッドに倒れ込んだ。
「ちょっと休憩してから食べるか……」
ぼんやりとシーツに顔を埋めているとそよ風と甘い香りが僕の髪を撫でた。
「あ、桂さん……」
いつの間にか静かにそばにいる彼は、薄暗い夕闇の中でも輝いているように見える。
「疲労が激しいようだな」
「ん、ちょっと今日はしんどいかな」
「食事をしないのか」
「少し休んでからにちゃんと食べますよ」
無表情で彼は僕の両頬を大きな手で包むと「熱い」と呟いた。
「ちょっと熱っぽいかな……。横になってれば大丈夫です」
少し目の周りに熱を感じ始め視界が緩む。今日は無理をし過ぎたのかもしれない。倉田さんのヤマボウシの切り口が思ったより多く、さらには綺麗な断面でないものがほとんどで、僕がやり直したからだ。
「お前は、頑丈ではないが多くの木がお前を支えている。それというのもお前が木を守っているからだ」
はっきりしない頭で桂さんの言葉を聞く。
「人間は木が――植物がないと生きていけませんからね」
「私たちは人間がいなくても生きていけるのだが、私は――私たちはお前を生かしたい。だからちゃんと受け取れ」
荒く熱っぽい息をはき出す僕の唇に桂さんの少し硬くてひんやりした唇が重なる。清涼な息が吹き込まれると、僕は森の中に抱かれるような安心感を得た。
「ちょっと休憩してから食べるか……」
ぼんやりとシーツに顔を埋めているとそよ風と甘い香りが僕の髪を撫でた。
「あ、桂さん……」
いつの間にか静かにそばにいる彼は、薄暗い夕闇の中でも輝いているように見える。
「疲労が激しいようだな」
「ん、ちょっと今日はしんどいかな」
「食事をしないのか」
「少し休んでからにちゃんと食べますよ」
無表情で彼は僕の両頬を大きな手で包むと「熱い」と呟いた。
「ちょっと熱っぽいかな……。横になってれば大丈夫です」
少し目の周りに熱を感じ始め視界が緩む。今日は無理をし過ぎたのかもしれない。倉田さんのヤマボウシの切り口が思ったより多く、さらには綺麗な断面でないものがほとんどで、僕がやり直したからだ。
「お前は、頑丈ではないが多くの木がお前を支えている。それというのもお前が木を守っているからだ」
はっきりしない頭で桂さんの言葉を聞く。
「人間は木が――植物がないと生きていけませんからね」
「私たちは人間がいなくても生きていけるのだが、私は――私たちはお前を生かしたい。だからちゃんと受け取れ」
荒く熱っぽい息をはき出す僕の唇に桂さんの少し硬くてひんやりした唇が重なる。清涼な息が吹き込まれると、僕は森の中に抱かれるような安心感を得た。