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降りしきる黄金の雫は
第10章 10 告白
 すこぶる調子のよい僕は仕事も良い評価を得ている。仕事を終えて早く帰り桂さんに会いたいが彼がやってくるのは夜だけなので早く退社してもしょうがない。また植物に関する仕事の内容に関心があるようなので彼に話すべく、必然的に仕事を頑張っている。ただ仕事の合間に桂さんのことを考えることが増えているのでたまにぼんやりしていると岡田先輩に注意されてしまう。
こんなにも誰かのことを想う日が来るとは夢にも思わなかった。幸せな日々だ。


ちょっとしたデータの入力ミスを直していると終業時間になり皆帰ってしまった。
「うーん。久しぶりに残業になるかなあ」
急ぎではないので今日中にやる必要はないが、ミスのまま残しておくのは気持ちが悪いので少しばかり残業することにした。
集中していると後ろでカチャリとドアが開く音がし、振り向くと岡田先輩が立っていた。

「あ、社長」
「まだ――帰らないのか? 芳樹」

「もう、終わります。ほんの少しなので」
「送ってやるよ。バスの時間、微妙だろ」

「え、いえ。平気ですよ。コンビニで買い物でもしてますから」
「ついでだ、遠慮すんな」

「は、はい。じゃお言葉に甘えて」
「じゃ、俺もあちこちチェックして閉めてくるから」

「はい」

作業を終え、鍵をかけて駐車場に向かうとちょうど先輩が車を回しているところだった。
赤いSUV車はよく磨かれていて彼が大事にしていることがよくわかる。

「終わったか。乗れよ」
「はい」

乗り込んで事務所のカギを渡すと彼は「お疲れさん」と笑顔を見せてから発車した。
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