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降りしきる黄金の雫は
第10章 10 告白
道は空いていてスムーズに家に着いた。
「ありがとうございました」
僕は礼を言い、降りようと車に手を掛けたとき「芳樹」と強い意志がこもった声で岡田先輩が名前を呼ぶ。
「はい、なんですか?」
彼の方に振り返ると突然暗闇になった。
「えっ、あ、あの」
「芳樹。お前、本当に恋人はいないんだよな」
覆いかぶさるように岡田先輩は僕を抱きしめた。男っぽいシェービングフォームの香りが僕の鼻腔をかすめる。
「せ、先輩、何を」
「お前が好きだ、芳樹」
「え?」
「ずっと好きだった。初めて大学で会って見かけたときから」
「先輩……」
僕は力強い腕の中で先輩の弱音を吐くような告白を聞き身動きが取れなかった。ずっと大事にしてきてもらっていることは分かっていたが、家族愛のようなものだと思っていた。
先輩は中学時代に実弟を失くしている。弟さんは僕と同じく身体が弱かったらしい。そして僕にとてもよく似ているらしく、初めて会ったときから弟のように思っていると一度話してくれたことがある。
家族との縁が薄い僕には岡田先輩とどう接していいのかわからなかったが、彼のリードに任せ、彼が喜んでくれることをしてきたつもりだった。
「ありがとうございました」
僕は礼を言い、降りようと車に手を掛けたとき「芳樹」と強い意志がこもった声で岡田先輩が名前を呼ぶ。
「はい、なんですか?」
彼の方に振り返ると突然暗闇になった。
「えっ、あ、あの」
「芳樹。お前、本当に恋人はいないんだよな」
覆いかぶさるように岡田先輩は僕を抱きしめた。男っぽいシェービングフォームの香りが僕の鼻腔をかすめる。
「せ、先輩、何を」
「お前が好きだ、芳樹」
「え?」
「ずっと好きだった。初めて大学で会って見かけたときから」
「先輩……」
僕は力強い腕の中で先輩の弱音を吐くような告白を聞き身動きが取れなかった。ずっと大事にしてきてもらっていることは分かっていたが、家族愛のようなものだと思っていた。
先輩は中学時代に実弟を失くしている。弟さんは僕と同じく身体が弱かったらしい。そして僕にとてもよく似ているらしく、初めて会ったときから弟のように思っていると一度話してくれたことがある。
家族との縁が薄い僕には岡田先輩とどう接していいのかわからなかったが、彼のリードに任せ、彼が喜んでくれることをしてきたつもりだった。