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降りしきる黄金の雫は
第12章 12 香り
「ただいま」

寝室の襖を開けるとベッドに横たわる桂さんが月光に照らされて輝いている。

「今夜はもう帰らぬかと思っていた」
「ま、まさか。どうしてそんなことを言うんです」

僕は怒って見せたが彼は全く動じることなく眉一つ動かさない。

「あやつが麝香の男か」
「あの、先輩は、兄みたいなものでそんな、そんな関係じゃありません。疑わないでください」

「疑ってなどいない」
「じゃあ、なんで変なことを言うんですか」

「あの男はお前を好いているようだ」
「だから、なんです?」

それ以上言葉を発しない桂さんが何を考え何が言いたいのかわからず、僕は途方に暮れるばかりだ。

「僕は、僕は――桂さんが好きなんです」
「知っている」

「もう――何も、言わないで」

僕は桂さんに覆いかぶさって口づけをし、下半身だけ脱ぎ、桂さんのモノを窪みにあてがった。

「無理をするな」
「嫌です。今すぐつながりたい」

不安な心をつながる身体で消し去りたい一心だった。

「わかった」

桂さんは自在に愛液を扱い、僕を濡らし、ゆっくりと侵入する。

「あっ、あぅ――け、桂、さん――」
「しばらくじっとしておけ」

「あ、い、いや、だ」

聞き分けずに彼の上で動く僕を桂さんは慈しむような愛しむような、それでいて悲しむような表情で僕を見つめる。
きしむベッドの音が、悲しむ鳥の鳴き声のように聞こえた。
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