この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
降りしきる黄金の雫は
第2章 2 『ガーデン岡田』
正午のサイレンが鳴り、従業員たちはそれぞれ昼食のために外へ出て行った。入れ替わりで外回りをしていた岡田先輩と植木職人の林田さんが戻ってきた。二人が並んでいる姿はとても迫力がある。
岡田先輩は学生時代ラグビー部に所属し、スーツの上からでもわかるがっちりとした体格で、林田さんはもう50代だが空手の師範でもあり、小柄ながら鍛えられた筋肉と日に焼けた浅黒い肌が精悍さを感じさせる。
生白く、生気のない体質の僕は明るい活力のある二人を眺めると、とても眩しく感じる。同じ男でも違うものなのだなと諦めを超え、悟ってしまっている。
「じゃ、林田さん、お疲れ様でした」
「おうっ、またな」
白い歯を見せ、林田さんは去った。
「芳樹、昼は?」
「ああ、今から、コンビニでも行ってこようかと」
「俺もまだなんだ。『春日』にでもいこうぜ」
近所の定食屋で昼食をとることにした。
店は混雑しているが、二人掛けのテーブルが残っており二人で向かい合わせに腰かけた。
『春日』は古い定食屋だが、ボリュームがあり、価格も安く、味も良いのでサラリーマンに人気が高い。
「いつも繁盛してますね」
「ああ、ここはいつも美味いしな。おばちゃん、俺はカレーとラーメンのセット」
「僕は野菜炒め定食で」
「もっと食えよ」
「いえ、ここは本当に量が多いですから」
いつも食の細さを先輩は気にするが、僕の体格では十分すぎる量の食事だ。
「白くて細いな。ん? なんだ怪我したのか」
僕の指先を見つめ、手のひらの大きな絆創膏に気づき、手首をとった。
「実は昨日……」
大家さんから金木犀の木を譲り受けた話をした。
庭に穴を掘り、木を植える前に根っこをほぐしていると鋭利なガラスの破片があり手を傷つけてしまったのだ。
岡田先輩は学生時代ラグビー部に所属し、スーツの上からでもわかるがっちりとした体格で、林田さんはもう50代だが空手の師範でもあり、小柄ながら鍛えられた筋肉と日に焼けた浅黒い肌が精悍さを感じさせる。
生白く、生気のない体質の僕は明るい活力のある二人を眺めると、とても眩しく感じる。同じ男でも違うものなのだなと諦めを超え、悟ってしまっている。
「じゃ、林田さん、お疲れ様でした」
「おうっ、またな」
白い歯を見せ、林田さんは去った。
「芳樹、昼は?」
「ああ、今から、コンビニでも行ってこようかと」
「俺もまだなんだ。『春日』にでもいこうぜ」
近所の定食屋で昼食をとることにした。
店は混雑しているが、二人掛けのテーブルが残っており二人で向かい合わせに腰かけた。
『春日』は古い定食屋だが、ボリュームがあり、価格も安く、味も良いのでサラリーマンに人気が高い。
「いつも繁盛してますね」
「ああ、ここはいつも美味いしな。おばちゃん、俺はカレーとラーメンのセット」
「僕は野菜炒め定食で」
「もっと食えよ」
「いえ、ここは本当に量が多いですから」
いつも食の細さを先輩は気にするが、僕の体格では十分すぎる量の食事だ。
「白くて細いな。ん? なんだ怪我したのか」
僕の指先を見つめ、手のひらの大きな絆創膏に気づき、手首をとった。
「実は昨日……」
大家さんから金木犀の木を譲り受けた話をした。
庭に穴を掘り、木を植える前に根っこをほぐしていると鋭利なガラスの破片があり手を傷つけてしまったのだ。