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降りしきる黄金の雫は
第16章 16 結実
大きな満月が桂さんを照らし、影になっている。逆光になっているので彼の姿をはっきり見ることが出来ず目を細めていると、ふわっと突風のような甘い香りが鼻腔をついた。
「あっ! き、金木犀!」
満開になっている金木犀を目の当たりにし、僕はよろよろと庭へ駆けだす。
「なんて、なんて綺麗なんだ……」
うっとりしていると木の隣で桂さんがガクッと膝をついた。
「け、桂さん」
「大丈夫だ」
「だ、大丈夫って――あっ!」
「少し力を使っただけだ」
桂さんの黄金色の豊かな髪が真っ白になっている。
「こ、こんな、桂さん、だめ――ああ、どうすれば」
「気にすることはない」
「だけど、だけど」
おろおろする僕の肩を桂さんは優しく抱く。
「そうだ、もう、少ないかもしれないけど、僕の、僕の精を吸ってください」
「やめておけ」
「いえ。もう、本当に何も力が残ってないことぐらいわかってるんです。でも、少しでも僕の命の片鱗でもあなたに注ぎたい」
「芳樹……。いただこう」
ふわっと僕を抱き上げ桂さんは寝室に運び、寝かせる。
こうして最後の甘い夜を、最高の一夜を過ごすことになった。
「あっ! き、金木犀!」
満開になっている金木犀を目の当たりにし、僕はよろよろと庭へ駆けだす。
「なんて、なんて綺麗なんだ……」
うっとりしていると木の隣で桂さんがガクッと膝をついた。
「け、桂さん」
「大丈夫だ」
「だ、大丈夫って――あっ!」
「少し力を使っただけだ」
桂さんの黄金色の豊かな髪が真っ白になっている。
「こ、こんな、桂さん、だめ――ああ、どうすれば」
「気にすることはない」
「だけど、だけど」
おろおろする僕の肩を桂さんは優しく抱く。
「そうだ、もう、少ないかもしれないけど、僕の、僕の精を吸ってください」
「やめておけ」
「いえ。もう、本当に何も力が残ってないことぐらいわかってるんです。でも、少しでも僕の命の片鱗でもあなたに注ぎたい」
「芳樹……。いただこう」
ふわっと僕を抱き上げ桂さんは寝室に運び、寝かせる。
こうして最後の甘い夜を、最高の一夜を過ごすことになった。