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狼に囚われた姫君の閨房録
第16章 池田屋事件(後編)
「すみれ!」
どこからか、声がした。ついで、私に向かって脇差が飛んできた。
稔麿に貫かれながらも、私はとっさに脇差を受け止った。
(これは一兄上さまの……!)
目の前には、はだけた稔麿の胸。私は瞬時に一の意図を理解した。
脇差を稔麿の胸に素早く突き立てたものの、
「甘い」
稔麿の刀があっさりと止めた。私への抜き差しをやめることなく、稔麿はほくそ笑む。
「千年早いと言ったはずだが?」
「……それはどうかな?」
いつのまにか、総司が稔麿の背中に迫っていた。
「沖田かっ!」
稔麿が振り返った時は遅かった。稔麿は私の中にまだ入っていたのだ。
総司の太刀が稔麿を袈裟懸けにしていた。致命傷の一刀だったが、稔麿は返す刀で反撃する。駆け寄ってきた一が弾く。
「すみれ!」
「はいっ!!」
一の合図で、私は再度脇差で稔麿を刺し貫く!
続いて、総司の三段突き!
一が稔麿の胴を薙ぎ払う!
稔麿は血の海で、息絶えた。
「よくやったな」
一が私の頭を撫でた。
階下の騒ぎはすでにやんでおり、窓から朝陽が昇るのが見えた。
「……終わったんですね」
どこからか、声がした。ついで、私に向かって脇差が飛んできた。
稔麿に貫かれながらも、私はとっさに脇差を受け止った。
(これは一兄上さまの……!)
目の前には、はだけた稔麿の胸。私は瞬時に一の意図を理解した。
脇差を稔麿の胸に素早く突き立てたものの、
「甘い」
稔麿の刀があっさりと止めた。私への抜き差しをやめることなく、稔麿はほくそ笑む。
「千年早いと言ったはずだが?」
「……それはどうかな?」
いつのまにか、総司が稔麿の背中に迫っていた。
「沖田かっ!」
稔麿が振り返った時は遅かった。稔麿は私の中にまだ入っていたのだ。
総司の太刀が稔麿を袈裟懸けにしていた。致命傷の一刀だったが、稔麿は返す刀で反撃する。駆け寄ってきた一が弾く。
「すみれ!」
「はいっ!!」
一の合図で、私は再度脇差で稔麿を刺し貫く!
続いて、総司の三段突き!
一が稔麿の胴を薙ぎ払う!
稔麿は血の海で、息絶えた。
「よくやったな」
一が私の頭を撫でた。
階下の騒ぎはすでにやんでおり、窓から朝陽が昇るのが見えた。
「……終わったんですね」