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狼に囚われた姫君の閨房録
第17章 総司の肺結核
池田屋事件から、三日が過ぎた。
この日は奥典医を務めている松本良順が屯所を訪れる日だった。
負傷者が出たことを心配した容保様がわざわざ派遣してくれたのだ。
あの夜三十名ほどいた尊攘派は吉田稔麿、宮部鼎蔵ら数名が死亡。他はすべて捕縛された。
新選組にも、被害はあった。
三人が死亡し、複数人が負傷。新八は右手の肉を削ぎ取られ、平助は額を割られる重傷を負った。

総司の看病をしていた私は、枝折り戸が静かに開く気配に庭を見た。細かい小雨が飛び石を濡らし、どこかで蛙の鳴き声がしている。
坊主頭の松本良順だった。年は三十。薬箱を自ら持ち、供も連れていない。
私は急いで、縁側に出迎えた。
「そのまま、そのまま」
良順は穏やかに制して、傘を閉じると柱にもたれさせた。
「姫を出迎えさせたとあっては、この良順、亡き大老に会わせる顔がござりませぬ」
「しばらくでした、良順どの。変わりなさそうで、何よりです」
「姫こそ、池田屋ではなかなかのご活躍だったそうで……お元気そうで安心しましたぞ」
にこやかに言ってから、良順は野太い眉を締めた。
「して、病人は?」
私は室内に顎をしゃくった。
部屋の真ん中に布団を敷き、昏々と眠る総司の姿があった。
脂汗を滲ませて、呼吸は速くて浅い。
「診察が終わるまで、姫にはご遠慮を」
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