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狼に囚われた姫君の閨房録
第17章 総司の肺結核

総司の熱が数日経ってようやく下がったと聞き、私は総司の病室を訪れた。
換気のため、襖は開け放してある。蝉の鳴き声に乗って流れてくる草の匂いが強かった。
「何しに来たのさ?」
総司は布団の上に起きていたが、案の定、機嫌が悪かった。
「僕の面倒は相馬くんたちが見るから、来なくて良いって言ったよね?」
私は枕元に薬湯を置いた。良順に処方された煎じ薬だ。
「主計くんたちは稽古中です。刃を潰した真剣での合同稽古なので、私が代わりました」
池田屋事件以来、新選組の評価は上がった。新入隊士も増えた。それにつれ、稽古も厳しくなったのである。
「お薬、飲みますか?」
「後で飲む」
「お飲みになるなら、今どうぞ」
急須からお湯呑みに私が薬湯を注ごうとすると、
「後でって言ってるじゃない。お節介してないで、さっさと出て行きなよ!」
予想通りの反応を、総司はした。
「出ていきますとも、兄上さまが薬を飲んだ後で」
「ちゃんと飲むから、出て行って」
「薬を飲んだら失礼すると、申し上げています」
総司はうんざりしたように、蒼白な顔面を歪めた。
「じゃあさ、口移しで飲ませてよ。それなら、飲むよ」
換気のため、襖は開け放してある。蝉の鳴き声に乗って流れてくる草の匂いが強かった。
「何しに来たのさ?」
総司は布団の上に起きていたが、案の定、機嫌が悪かった。
「僕の面倒は相馬くんたちが見るから、来なくて良いって言ったよね?」
私は枕元に薬湯を置いた。良順に処方された煎じ薬だ。
「主計くんたちは稽古中です。刃を潰した真剣での合同稽古なので、私が代わりました」
池田屋事件以来、新選組の評価は上がった。新入隊士も増えた。それにつれ、稽古も厳しくなったのである。
「お薬、飲みますか?」
「後で飲む」
「お飲みになるなら、今どうぞ」
急須からお湯呑みに私が薬湯を注ごうとすると、
「後でって言ってるじゃない。お節介してないで、さっさと出て行きなよ!」
予想通りの反応を、総司はした。
「出ていきますとも、兄上さまが薬を飲んだ後で」
「ちゃんと飲むから、出て行って」
「薬を飲んだら失礼すると、申し上げています」
総司はうんざりしたように、蒼白な顔面を歪めた。
「じゃあさ、口移しで飲ませてよ。それなら、飲むよ」

