この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
狼に囚われた姫君の閨房録
第22章 新八と一の謹慎騒動

私が総司の寝所を訪れたのは、夕陽が山の端に消える頃だった。
長火鉢の炭を鉄箸でいじっていた総司は私が座るや否や、
「遅い!」
と怒鳴りつけた。
「何してたのさ?二人の処分が知りたかったのに」
「申し訳ありません」
私は総司のおでこに手を当てた。熱は上がっていないようだ。
「ご処分は蟄居と決まりました。お二人の私室の雨戸を釘で打ち付けるので、そのお手伝いをしておりました」
「切腹じゃないんだね?」
「おじ上さまとお父上さまのお取りなしで……」
私は伊東と歳三の舌戦を思い出した。
理詰めで攻める歳三に、伊東は正論で対抗した。丁々発止とはあのことだ。
「伊東参謀も、すべては自分の責任だと仰せになり……」
「だったら、隊規違反させるなって」
総司は腕枕をして布団に寝転がった。
「なんで、あんなのを参謀にしたのかな?あんな人、いらないのに」
体を冷やしてはいけない。私は総司に布団をかけた。
「歳三兄上さまがいうには、私のためだそうです。そして、真に必要なのは伊東じゃないと」
「どういうことさ?」
「伊東派に欲しい人材がいたということかと」
「そいつは誰だって聞いてるの」
「わかりません。そのことはおっしゃらなかったので……」
「相変わらずの秘密主義……」
総司はうんざりしたように、布団の片側を開けた。
そして、その片側をポンポンと叩いた。入ってこいということだ。
「おいで」
長火鉢の炭を鉄箸でいじっていた総司は私が座るや否や、
「遅い!」
と怒鳴りつけた。
「何してたのさ?二人の処分が知りたかったのに」
「申し訳ありません」
私は総司のおでこに手を当てた。熱は上がっていないようだ。
「ご処分は蟄居と決まりました。お二人の私室の雨戸を釘で打ち付けるので、そのお手伝いをしておりました」
「切腹じゃないんだね?」
「おじ上さまとお父上さまのお取りなしで……」
私は伊東と歳三の舌戦を思い出した。
理詰めで攻める歳三に、伊東は正論で対抗した。丁々発止とはあのことだ。
「伊東参謀も、すべては自分の責任だと仰せになり……」
「だったら、隊規違反させるなって」
総司は腕枕をして布団に寝転がった。
「なんで、あんなのを参謀にしたのかな?あんな人、いらないのに」
体を冷やしてはいけない。私は総司に布団をかけた。
「歳三兄上さまがいうには、私のためだそうです。そして、真に必要なのは伊東じゃないと」
「どういうことさ?」
「伊東派に欲しい人材がいたということかと」
「そいつは誰だって聞いてるの」
「わかりません。そのことはおっしゃらなかったので……」
「相変わらずの秘密主義……」
総司はうんざりしたように、布団の片側を開けた。
そして、その片側をポンポンと叩いた。入ってこいということだ。
「おいで」

