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狼に囚われた姫君の閨房録
第28章 平助、死す!

私の目の前で、真紅の雨が降った。行灯に血飛沫がかかり、転がった食器が割れた。
私は父の後ろで懐剣を構えていた。
「おのれ……土方……よくも……」
伊東甲子太郎は深傷を負いながらも、歳三に斬りかかる。
体を反らしてかわした歳三の刀が、伊東の喉元を切り裂く!
ピューッと高い喉笛。伊東は音を立てて崩れ落ち、息絶えた。
急展開でわけがわからないと思うから、説明しよう。
ここは父・近藤勇の別宅。息抜きの為に、洛外に建てた家だ。
そこへ、十一月十八日の夜、伊東を招いて暗殺したのである。
理由は伊東が父の暗殺を企てたからだった。
知らせは、一が昨日のうちに屯所にもたらした。
私が総司の病間にいた時だ。一は歳三が伊東派に放った間者であった。
わかっていたから、左之助は私を総司の見舞いに行かせたのである。何も知らない私が鉢合わせしないように。
「伊東の息の根を止める理由ができたってことか」
一言だけ、歳三はそう言った。低く、重く、血が凍りつきそうな声音であった。
そして、私はお酌係にかりだされ、今夜のこの結末となった。
私は父の後ろで懐剣を構えていた。
「おのれ……土方……よくも……」
伊東甲子太郎は深傷を負いながらも、歳三に斬りかかる。
体を反らしてかわした歳三の刀が、伊東の喉元を切り裂く!
ピューッと高い喉笛。伊東は音を立てて崩れ落ち、息絶えた。
急展開でわけがわからないと思うから、説明しよう。
ここは父・近藤勇の別宅。息抜きの為に、洛外に建てた家だ。
そこへ、十一月十八日の夜、伊東を招いて暗殺したのである。
理由は伊東が父の暗殺を企てたからだった。
知らせは、一が昨日のうちに屯所にもたらした。
私が総司の病間にいた時だ。一は歳三が伊東派に放った間者であった。
わかっていたから、左之助は私を総司の見舞いに行かせたのである。何も知らない私が鉢合わせしないように。
「伊東の息の根を止める理由ができたってことか」
一言だけ、歳三はそう言った。低く、重く、血が凍りつきそうな声音であった。
そして、私はお酌係にかりだされ、今夜のこの結末となった。

