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狼に囚われた姫君の閨房録
第39章 鶴ヶ城の悲劇(後編)

籠城して一か月が経とうとしていた。兵糧も尽きかけ、落城も間近という時、
「敵に中門を突破されました!」
私と容保さまのところへ、中野竹子が注進した。
「娘子隊、行きます。ごめんなされませ!!」
叫ぶと、竹子は薙刀を片手に戦場へと向かった。
私は小姓に具足をつけさせている容保さまを見た。
「降伏する時間くらい、このすみれが稼いでみせましょう。お心置きのう!」
「小賢しいことを……」
容保さまは苦笑した。
降伏……つまり、容保さまが腹を切るということだ。
容保さまの生害を邪魔させるものか!
「すみれ!」
鉢巻を締めて薙刀を手に走り出す私を、容保さまは呼び止めた。
「世話になった。冥土で会おうぞ」
「お先に」
私はにっこりと笑顔を返して、階段を駆け降りた。
外では、銃声や怒号、剣戟の音が入り混じって響いていた。
「敵に中門を突破されました!」
私と容保さまのところへ、中野竹子が注進した。
「娘子隊、行きます。ごめんなされませ!!」
叫ぶと、竹子は薙刀を片手に戦場へと向かった。
私は小姓に具足をつけさせている容保さまを見た。
「降伏する時間くらい、このすみれが稼いでみせましょう。お心置きのう!」
「小賢しいことを……」
容保さまは苦笑した。
降伏……つまり、容保さまが腹を切るということだ。
容保さまの生害を邪魔させるものか!
「すみれ!」
鉢巻を締めて薙刀を手に走り出す私を、容保さまは呼び止めた。
「世話になった。冥土で会おうぞ」
「お先に」
私はにっこりと笑顔を返して、階段を駆け降りた。
外では、銃声や怒号、剣戟の音が入り混じって響いていた。

