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狼に囚われた姫君の閨房録
第14章 甘いご褒美
九月十八日。芹沢鴨の葬儀があった。
死因は粛清ではなく、不逞浪士の襲撃ということになった。

(終わった……)
私はその夜、檜風呂につかって足を伸ばしていた。
疲れた。
心身共に疲れ果てて、やっと体力が戻ってきた。二日間布団から起き上がれず、私は葬儀には出られなかった。
「出たくもないから、いいけどね」
思わず呟いた私の肩に、湯がかかった。
「本音がだだ漏れしてるよ」 
総司が私の肩を引き寄せる。
「肩が冷えてるよ。肩までつからないとダメじゃない」
総司が私の上半身を湯につからせて、手拭いで乳房をこする。疲れをほぐすように、優しく。
これはご褒美だ。
芹沢鴨暗殺に協力した褒美のものを問われ、私は迷わず、総司と一に愛されることを望んだ。
「ううぅん……ふぁぁ」
傍らの一が私の乳首を摘む。引っ張ったり、捻ったりして弄ぶ。
甘ったるい官能。性感の渦が身体中をとろけさせる。 
私を満足させるためだけの手技。兄たちに嬲られることは、この上ない喜びであった。
「すみれ、よくやったな。褒美ではなく、心からお前を愛でよう」
一の呼吸が私の唇に落ちてきた。
「嬉しゅうございます」
私は思うさま、一に唇を吸われた。
久しぶりだ、こんなにのんびりと二人に愛されるのは。芹沢派を粛清するため、私はずっと総司や一とゆっくりする暇がなかったのだ。
「……ん……」
一と舌が絡み合う。私の呼吸ごと吸い尽くしそうな激しい接吻。
(兄上さまたち……いつもより、激しい……)
一も鬱憤がたまっていたのだろう。角度を変えて、しつこく口付ける。
私の足の間に湯とは違う雫が満ち始めた。両足をもじもじさせる私。
もっと愛して欲しい。もっともっと、全身を攻めてほしい。
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