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息子の柔道教室の先生
第1章 息子の柔道教室の先生
 そのデカイ先生、吉田先生って言うんですけどね。


 吉田先生は子ども好きで、厳しいところはキチンと厳しくするけど、アメと鞭って言うんでしょうか、ちゃんとメリハリつけてくれるから、道場のみんなに慕われてるんだってすぐ分かって、私の中の好感度が急上昇しました。


 息子もすぐに吉田先生を慕うようになりました。
 吉田先生のほうも、新入りの息子を気に掛けてくれて、帰りに何度か、練習の合間に母親の私に色々様子を報告してくれて、母親の私は感謝しきりでした。
 

 それにしても…嫌ですよね〜、年を取るって。
 主婦になるとすっかり図々しくなっちゃって、私ったら吉田先生に、

「そういえば先生って、おいくつなんですか?」

 って思わずフレンドリーに質問しちゃったんです。
 そしたら吉田先生、途端に恥ずかしそうに俯いて、

「あっ…えっ…30歳ッスよ」

 って答えるんです。
 身体はデカイし、練習中は堂々としてるのに、プライベートな話となると途端にシャイな一面が顔を覗かせるようでした。
   
「わー!それなら私と同い年ですね!」

 って私が言ったら、吉田先生、

「オッ、同い年ッスか!?」

 なんて失礼にも目を丸くしちゃって。
 女性の扱いに慣れてない様子が新鮮でした。

「私のほうが年上だと思ってました?」

 と尋ねた私に、

「イッ、イエ!自分なんてまだ独身だし、自分と同い年で小4のお母さんってあんま居ないッスから」

 なんて言うんです。

「でも吉田先生、彼女くらいはいらっしゃるんでしょ?」


 私の言葉に、吉田先生はポッと頬を赤らめて、困ったように頭を掻いていました。


「いやぁもう全然…出会いすらなくて10年は彼女居ませんよ…きっとこのまま一生独身ッスね…」



 吉田先生がそう言った時、他の生徒に呼ばれたから、その時はそこで終わりました。





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