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崩口川(くえくちがわ)
第1章 崩口川(くえくちがわ)
その結果、のりひでは6月のあたま頃に丹原町中町の実家を飛び出した。

家出をしたあとは、男性の家でイソウロウ生活をしていた。

のりひでが家出したことを聞いた父親・のりお(69歳・警察署署長~官僚警察官)が思い切りキレていた。

のりおは、市役所へ行って城ノ井の家の戸籍からのりひでをハイジョして、手切れ金ゼロでカンドーした。

それだけでは怒りがおさまらないのりおは、のりひでが福祉施設を利用するための受給者証などの資格を全部破棄する手続きを強行した。

しかし、のりひでは実家からカンドーされてもヘーゼンとしていたので、思い上がっていた。

のりひでをカンドーしないと兄・のりひこ(45歳・市役所勤務)が正職員になれない…正社員になれなかったら、働けなくなる…

のりおも、せっかくいただいた警察庁長官の話が取り消されてしまうと言うて世間体ばかりを気にしていた…

そうしたことが原因で、近所のみなさまは口々に城ノ井の家の悪口を言いまくっていた。

『城ノ井の家のご主人は何を考えているのかしらね…自分の栄転がダメになることがイヤだからのりひでのことを追い出したのじゃないのかしら…』…

母親・華永(はなえ・55歳・専業主婦)もまた、前科を抱えていた。

華永が中学の時、洋式トイレの水たまりにのりひでを産み落としたことがあった。

そのことが原因で、近所の人たちから『華永のカレがチンピラだからのりひでがダメになったのよ…』などと悪口を言われていた。
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