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崩口川(くえくちがわ)
第1章 崩口川(くえくちがわ)
居間の柱時計のはりは、夜7時5分になっていた。

家族は、ちえりの帰りがものすごく遅いので、気持ちがソワソワとしていた。

もしかしたら…

ちえりは、何らかの事故に巻き込まれたのではないのか…

それとも…

帰る特急列車に乗り遅れて困っているのではないのか…

ちえりの父親は、ものすごくイライラとした様子で居間に置かれている旧式のCDラジカセのラジオの電源を入れて、NHKラジオのニュースを聴いていた。

この時に、岡山駅の新幹線ホームで乗客が連れていた小型犬が新幹線の線路上に逃げ出したトラブルが原因で山陽新幹線は福山-姫路間で運転見合わせと言うニュースを聴いた。

しかし、家族は『ちえりは帰る予定の時刻に特急列車に乗り遅れただけ。』と思っていたので、もうしばらく待つことにした。

しかし…

時間だけがいたずらに経過していたので、次第に奈美とちえりの両親のイライラが高まっていた。
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