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おとなりの、ひとづまと。
第1章 家呑みの果て。
高校生になって初めての夏休み。
おれは七月中は鬼の様にバイトして、八月は目一杯に遊んでやろうと考えていた。
海に行ったり、花火大会に行ったり、盆踊りで弾けてみたり。
一学期中に彼女は出来なかったが、夏休みの前半にバイトがてら彼女を作れば、サイコーの夏になる!と六月の梅雨真っ盛りの中からそう思っていた。
しかし、その夢も思惑も水泡に帰してしまう。
夏休み前、最後の週。
うだるような暑さの中、おれのクラスは蒸しに蒸した武道館で柔道の授業だった。
女子はプールで、男子は柔道という理不尽極まり無い授業割り振りに、不満を口にする者は少なく無かった。
だが、あと少しで夏休みという高校生活最高のモチベーションのお陰で、生徒だけでは無く普段は怖い柔道の先生もかなり上機嫌だった。
そして、今日はダルい練習は止めて、紅白戦をしようということになったのだ。
男子総勢二十名で、十名ずつに分かれて試合を行う。
買った方がジュースを奢るという、子供染みた賭けも成立していた。
じゃんけんで負けたおれは先鋒になった。相手はクラスで一番の巨漢……いや只のデブ。
おれはそう体格は良くないが、運動神経はいい方だった。
そして何より、気分は浮かれていたし、調子にも乗っていた。
何とかして盛り上げてやろうと考えていた。
それで思いついたのが、クラスで一番のデブに、巴投げを仕掛ける。
おれはすぐに実行に移した。
碌にやり方を知らないから、力技で無理やり。それでも、デブの身体は一瞬いい感じに浮いたのだ。
けれど、おれはデブを投げ切る事が出来ず、その巨体はおれの身体の上に落ちてきた。
その際、左腕を挟まれ、肘の骨がぼきりと折れてしまった。
おれは七月中は鬼の様にバイトして、八月は目一杯に遊んでやろうと考えていた。
海に行ったり、花火大会に行ったり、盆踊りで弾けてみたり。
一学期中に彼女は出来なかったが、夏休みの前半にバイトがてら彼女を作れば、サイコーの夏になる!と六月の梅雨真っ盛りの中からそう思っていた。
しかし、その夢も思惑も水泡に帰してしまう。
夏休み前、最後の週。
うだるような暑さの中、おれのクラスは蒸しに蒸した武道館で柔道の授業だった。
女子はプールで、男子は柔道という理不尽極まり無い授業割り振りに、不満を口にする者は少なく無かった。
だが、あと少しで夏休みという高校生活最高のモチベーションのお陰で、生徒だけでは無く普段は怖い柔道の先生もかなり上機嫌だった。
そして、今日はダルい練習は止めて、紅白戦をしようということになったのだ。
男子総勢二十名で、十名ずつに分かれて試合を行う。
買った方がジュースを奢るという、子供染みた賭けも成立していた。
じゃんけんで負けたおれは先鋒になった。相手はクラスで一番の巨漢……いや只のデブ。
おれはそう体格は良くないが、運動神経はいい方だった。
そして何より、気分は浮かれていたし、調子にも乗っていた。
何とかして盛り上げてやろうと考えていた。
それで思いついたのが、クラスで一番のデブに、巴投げを仕掛ける。
おれはすぐに実行に移した。
碌にやり方を知らないから、力技で無理やり。それでも、デブの身体は一瞬いい感じに浮いたのだ。
けれど、おれはデブを投げ切る事が出来ず、その巨体はおれの身体の上に落ちてきた。
その際、左腕を挟まれ、肘の骨がぼきりと折れてしまった。