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カゴノトリ
第1章 部屋の前
今度は、まだ卓也が小学生だった頃、美保と一緒に風呂に入ったことを思い出した。

美保の体を洗ってあげていた。

「卓ちゃん、だめだよ、そんなに強く擦らないで……そこはすごく柔らかいところなの。やさしく洗って……」

「うん、わかった」

卓也は石鹸の泡をたくさん使って、美保のそこを、撫でるように洗った。

時折、指先が柔らかい肉の切れ目にもぐりこんだ。

「ひゃっ、くすぐったい……」



卓也はその時の指の感触を思い出していた。

柔らかだった。

小さな肉の溝だった。

すごく、柔らかだった。



そこに……。

そこに、今、あの男の……。

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