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スカーレット オーク
第30章 30 演奏
ディナータイムのため、直樹はタキシードに着替えるため部屋へ戻っている。
客が席に着き食事を始めたころ、直樹のピアノ演奏が始まった。
食堂は白熱灯で柔らかい明かりだがピアノの位置は青白い蛍光灯にしてあり、ピアニストを目立たせてはいない。
ただ耳の肥えた客は小夜子の演奏にくぎ付けになる。
今夜の食堂は女性客でいつもりより賑わっている。
「なかなか、かしましいな」
「これだけ集まればね」
ざわつきで直樹の演奏が厨房までよく聴こえない。
直樹が『主よ、人の望みの喜びよ』を弾きはじめた。
「あら緋紗ちゃんの言うことよく聞くじゃない」
緋紗は照れながらにっこりした。
「でもおしゃべりでよく聴こえないわね」
緋紗もそう思ったがあくまでBGMであって演奏会ではないのでしょうがない。
「聴いてないけど直君は結構注目されてるわね」
和夫もどれどれという感じで覗いて、「そうか?いつもあんなだろ」と、言ったが小夜子は「前はそうでもなかったけど今回は結構うけてるわよー。別の意味で」と、笑って緋紗をみた。
軽く覗き見すると確かにちらちら直樹を見ながら談笑している女性客が何人かいる。
直樹がそういう関心を寄せられていることに不安になってしまった。
緋紗の暗い表情を見て、「やあね。そんな片思いの女の子みたいな顔して。緋紗ちゃんのおかげで色気がでてきてるのよー」 と、小夜子は笑い飛ばしていった。
――片思い……。
そうかもしれないと思う。自分もそうだがお互いの気持ちを確認はしていない。むしろ気持ちがあるのかどうかすら疑問だった。――会いたかったとは言ってくれたけど。
ただ、今は直樹が他の女性から興味を持たれることが不安だった。
客が席に着き食事を始めたころ、直樹のピアノ演奏が始まった。
食堂は白熱灯で柔らかい明かりだがピアノの位置は青白い蛍光灯にしてあり、ピアニストを目立たせてはいない。
ただ耳の肥えた客は小夜子の演奏にくぎ付けになる。
今夜の食堂は女性客でいつもりより賑わっている。
「なかなか、かしましいな」
「これだけ集まればね」
ざわつきで直樹の演奏が厨房までよく聴こえない。
直樹が『主よ、人の望みの喜びよ』を弾きはじめた。
「あら緋紗ちゃんの言うことよく聞くじゃない」
緋紗は照れながらにっこりした。
「でもおしゃべりでよく聴こえないわね」
緋紗もそう思ったがあくまでBGMであって演奏会ではないのでしょうがない。
「聴いてないけど直君は結構注目されてるわね」
和夫もどれどれという感じで覗いて、「そうか?いつもあんなだろ」と、言ったが小夜子は「前はそうでもなかったけど今回は結構うけてるわよー。別の意味で」と、笑って緋紗をみた。
軽く覗き見すると確かにちらちら直樹を見ながら談笑している女性客が何人かいる。
直樹がそういう関心を寄せられていることに不安になってしまった。
緋紗の暗い表情を見て、「やあね。そんな片思いの女の子みたいな顔して。緋紗ちゃんのおかげで色気がでてきてるのよー」 と、小夜子は笑い飛ばしていった。
――片思い……。
そうかもしれないと思う。自分もそうだがお互いの気持ちを確認はしていない。むしろ気持ちがあるのかどうかすら疑問だった。――会いたかったとは言ってくれたけど。
ただ、今は直樹が他の女性から興味を持たれることが不安だった。