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スカーレット オーク
第44章 44 母子
「来週の土曜日は同窓会に行ってくるよ。だからご飯もいいよ」
「そうなの。どこで?」
「三上んちの『シフト』」
「ああ近いのね」
「飲むし歩いていくよ。二次会はわからないけど遅くなるかも」
「そんなのに行くのなんて珍しいわね」
「まあね。直接来いよって言われたしね」
「楽しんでくればいいわよ」
直樹が付き合っていた彼女と別れて何年も一人でいることを、慶子が心配しているのはわかっていた。
しかし辛抱強く寡黙な母は何も聞かないし、何も言わない。
直樹はそんな母に軽く申し訳ない気もしたが、兄が家庭を持ち孫もいるので、それ程気にはしなかった。
毎日の生活を感謝しているが母が兄のもとで暮らし、自分は一人で暮らしてもいいと思うくらいだった。
自分には兄のように『幸せな結婚をして孫の顔を見せること』ができそうになく感じていたからだ。
スープの冷めない距離に兄夫婦がいるので、会おうと思えばすぐ会えるのだが直樹には父なき今、静かに過ごす母の夜は寂しいのではないかと思っている。
「じゃ颯介のところにでも行ってこようかな」
「そうしなよ。義姉さんはもっと聖乃を見てほしそうだよ。」
笑いながら直樹が言うと、
「そうねえ。今かわいい盛りよねえ」
と、慶子は楽しげに顔を綻ばせた。
「女の子はほんと可愛いわよねえ」
「男二人でごめんよ」
二人で笑って食事を終えた。
「そうなの。どこで?」
「三上んちの『シフト』」
「ああ近いのね」
「飲むし歩いていくよ。二次会はわからないけど遅くなるかも」
「そんなのに行くのなんて珍しいわね」
「まあね。直接来いよって言われたしね」
「楽しんでくればいいわよ」
直樹が付き合っていた彼女と別れて何年も一人でいることを、慶子が心配しているのはわかっていた。
しかし辛抱強く寡黙な母は何も聞かないし、何も言わない。
直樹はそんな母に軽く申し訳ない気もしたが、兄が家庭を持ち孫もいるので、それ程気にはしなかった。
毎日の生活を感謝しているが母が兄のもとで暮らし、自分は一人で暮らしてもいいと思うくらいだった。
自分には兄のように『幸せな結婚をして孫の顔を見せること』ができそうになく感じていたからだ。
スープの冷めない距離に兄夫婦がいるので、会おうと思えばすぐ会えるのだが直樹には父なき今、静かに過ごす母の夜は寂しいのではないかと思っている。
「じゃ颯介のところにでも行ってこようかな」
「そうしなよ。義姉さんはもっと聖乃を見てほしそうだよ。」
笑いながら直樹が言うと、
「そうねえ。今かわいい盛りよねえ」
と、慶子は楽しげに顔を綻ばせた。
「女の子はほんと可愛いわよねえ」
「男二人でごめんよ」
二人で笑って食事を終えた。